幸せな人を増やしたい!奈良に「第三の居場所」をつくる人|心も身体も元気になる悟カフェ・宝樹幸子
- 名前
- 宝樹幸子
- 会社名
- オーガニック健康カフェ 悟〜organic cafe satori〜
- キャッチコピー
- 魂も身体も喜ぶ!まずは、ごはんを食べに。
- 一言
- 黄色い看板の扉の先にあるのは、4抜きのごはんと、人が出会い、小さな気づきを持ち帰れる場所。悟カフェ・宝樹さちこさんの歩みと思いを紹介します。
黄色い看板の扉を開けると、羽の生えた笑顔の大仏さんが迎えてくれます。

名前は「びるちゃん」。
大仏鉄道から生まれた、東洋と西洋の融合をイメージしたキャラクターです。
背中の羽根には、奈良から世界へ、宇宙へ、そして出会った皆さんが羽ばたいていく――そんなイメージが込められています。
——どうして、このお店を「悟」という名前にしたのですか。
そう尋ねると、オーナーの宝樹幸子さんは、こう答えました。
「悟りって、要は自分の発見とか気づきなんですよ」
ごはんを食べる。人と出会う。何かを学ぶ。身近なところから新しい発見を持ち帰ってほしい。
そんな思いが、「悟」という店名に込められています。
ここは、近鉄奈良駅とJR奈良駅のちょうど中間、船橋商店街にある「悟〜organic cafe satori〜」。
小麦粉・砂糖・乳製品・油を使わない「4抜き」の料理やスイーツを味わえるオーガニックカフェです。
けれど、話を聞いていくうちに、ここが「ごはんのおいしいカフェ」だけではないことが分かってきました。
「みんなが安心して入れる場所にしたいんです」
宝樹さんが奈良につくろうとしているのは、食べることを入口に、人が出会い、自分の中の小さな気づきを持ち帰れる場所でした。
ごはん、速読、みんな食堂、水素サロン。来る理由は、違っていい

悟カフェの食事は、小麦粉・砂糖・乳製品・油を使わない「4抜き」が基本です。
奈良の契約農家から届く無農薬野菜をはじめ、オーガニックの食材や調味料、麹を使った手づくりの発酵調味料を取り入れています。
カフェの奥のスペースには健康サロンも併設し、水素吸引を利用できるスペースもあります。食事・学び・つながりに加え、健康を意識した過ごし方も選べるトータル健康カフェです。
その日に届いた野菜を見ながら、店長の糸川ゆいりんさんが献立を考えます。
決まった形に食材を合わせるのではなく、今ある素材のおいしさを生かす。だから、訪れる日によって少しずつ違う味に出会えます。
速読の先生が、カフェをやっている
宝樹さんはカフェのオーナーであり、速読の先生でもあります。
店では、ランチのほかに速読講座や各種イベントが開かれます。月に一度の「みんな食堂」には、ひとり暮らしの高齢の方も、子ども連れの家族も訪れます。レンタルスペースとして、誰かが初めて講座や小さな集まりを開くこともできます。
宝樹さんの言う「悟り」は、大げさなものではありません。
一つでも「あ、こんなん知らんかった」があればいい。ごはんを食べる。人と話す。本を読む。体を動かす。
どこからでも気づきは生まれるから、入口は広いほうがいいのです。


- 食べる:4抜きのランチや米粉のスイーツ、オーガニックの飲み物を楽しむ
- 学ぶ:速読教室や講座、イベントに参加する
- つながる:みんな食堂や地域の集まりで、世代を越えて顔なじみになる
普段なら出会わなかった人が、同じテーブルを囲む

ランチを食べたい人。速読を学びたい人。誰かと話したい人。自分の経験を誰かに伝えてみたい人。
来る理由は、人それぞれでかまいません。入口がいくつもあるからこそ、普段なら出会わなかった人たちが同じテーブルを囲めます。食事から会話が始まり、会話から次の行動が生まれる。そのゆるやかな循環が、悟カフェらしさです。
ランチや店内の様子は、Story奈良の悟カフェ訪問記事でも詳しく紹介しています。
倒れて、全部手放した。その先で「人のために」と決めた
宝樹さんが料理を好きになったのは、小学生のころでした。
宝樹さんは、障害のある親御さんのもとで育ちました。お母さまは料理が得意ではなく、家の食卓には出来合いのものが並ぶことが多かったそうです。友だちのお弁当に入っていた手づくりのハンバーグを見て、「ハンバーグって、自分で作れるんだ」と気づきました。
そこからは遊びのようなものでした。作ってみる。食べてもらう。お菓子を焼く。料理は、いつの間にかいちばん好きなことになっていました。
将来は料理の仕事がしたい。けれど家庭の事情で進学は断念し、松下電器の関連会社へ就職します。それでも希望を出し続け、配属されたのはオーブン料理やパンづくりを伝える部門でした。遠回りしたようで、料理につながる仕事にたどり着いたのです。
理想と、目の前の給食。その距離が見えてきた
結婚し、二人の子どもを育てながら、保育所の給食調理員として12年働きました。その間、娘さんが難病を抱えて生まれ、闘病生活を支えながら働くことになりました。それをきっかけに食について深く学び、薬膳にも関心を持つようになります。
ただ、学べば学ぶほど、自分が届けたい食事と現場との距離が見えてきました。野菜をたっぷり入れたカレーにも、最後は市販のルウを使う。おやつのホットケーキも、ミックス粉からつくる。
「もっと素材から考えた食事を届けたい」
その思いが、少しずつ形になっていきました。
2009年、大阪・中崎町で薬膳カフェと速読教室を開きます。速読を始めたきっかけは、「夢が叶うよ」と言われたこと。読むことが速くなることより、「夢が叶う」という未来に惹かれたのです。
こうして、薬膳カフェを営みながら、同じ店で速読教室も開く日々が始まりました。好きなことを二つ形にした一方で、毎日は想像以上に忙しくなっていきます。朝9時に店へ入り、夜9時まで営業する。そのあとに準備と片づけ。家へ帰れない日もありました。そして二年半で、体が悲鳴を上げます。2012年、宝樹さんは最初のカフェを手放しました。
ゼロから立て直し、もう一度手放した2019年
倒れたことで、カフェと速読教室の両方を続けるのは難しいと感じました。そこで料理の店はいったん手放し、教える仕事に絞ることを決めます。
翌2013年、資金ゼロから速読教室を再出発しました。やがて速読を延べ約300人に伝え、会員制の経営者クラブは約200人規模に成長。交流会には約80人が集まり、テレビにも多数出演しました。
外から見れば、順調でした。けれど身体は悲鳴をあげ、このままでは自分がもたないと感じるようになっていました。やがて、倒れてしまいます。
2019年、速読教室も、交流会も、会社も、次の人へ渡しました。
すべてを手放し、「自分の使命に目覚め、平和な世の中をつくる活動」を志す
自分の使命に目覚めたことから、自分でゼロからつくったものを手放しました。幸せな人を増やし、平和な世の中をつくる活動に取り組むと決心したのです。


「自分のため」から「人のため」へ
同じ2019年、人生や生き方を学び直す出会いがありました。そこで受け取ったのが、「本は、人の役に立つために読む」という言葉です。
それまでの宝樹さんは、自分が興味のある本を選んでいました。政治や経済の本は、難しそうで開く気にもならなかった。ところが「誰かの役に立つために読む」と思った途端、手に取る本が変わりました。読んだことを誰かに伝えられる。知らなかった話にも「それ、分かります」と入っていける。
視点が「自分」から「人」へ。それは宝樹さんにとって「180度」の変化でした。苦手だった政治や経済の本も、「誰かの役に立つなら」と手に取れるようになったように、これまで不幸だと思っていた出来事も、「何かに気づくためのきっかけかもしれない」と受け止められるようになりました。日々の発見が楽しくなったといいます。
宝樹さんに「幸せに生きるための宇宙の法則」や気づきを教えてくれた方と、2019年12月に再婚しました。現在は、その学びを分かち合う勉強会も開催しています。
そして2024年、生まれてからずっと暮らした大阪を離れ、大仏さまのお膝元・奈良へ移ります。知り合いはほとんどいません。出会う人が、まるごと入れ替わりました。
そんななか2025年、船橋商店街に悟カフェを開きました。
商店街の人が声をかけてくれる。「これ作ったから食べる?」と、おかずが行き来する。みんな食堂では、世代の違う人が同じ場所でごはんを食べる。少しずつ、顔を知っている人が増えていきました。
「隣に誰が住んでるかも知らない世の中じゃないですか」
もし何かが起きたとき、顔を知っていれば「あの人、来てないけど大丈夫かな」と思える。知らなければ、それすら思えない。だから宝樹さんは、顔なじみが一人ずつ増えていくことに大きな意味を感じています。
その先に思い描くのは、気づきを得て幸せに生きる人が奈良から少しずつ増え、支え合える社会が次の世代へつながっていく未来です。目標は大きい。でも、やっていることはとても地道です。
「目標は大きいですけど、やることはコツコツなんで」
漫画で読む、心も魂もピカピカに
料理への原点から二度の手放しを経て、「幸せな人を増やしたい」という志で奈良に悟カフェを開くまでを10ページでたどります。
魂も身体も喜ぶ!まずは、ごはんを食べに。


どんな人に来てほしいですか、と聞きました。
「今よりもっと成長したい人。向上心や志のある人」
そして、少し言葉を足すように、「人とのつながりが欲しい方にも」と続けます。
宝樹さんが思い描いているのは、みんなが安心して入れる場所です。
癒しと、気づきと、学びのあるコミュニティカフェ。家でも職場でもない、第三の居場所です。
- 体に配慮した食事を選びたい
- 一人でも気負わずに過ごせる場所がほしい
- 誰かとつながるきっかけがほしい
- 新しい学びや考え方に触れてみたい
- 自分でも講座や小さな集まりを開いてみたい
- 今の自分から、もう一歩進みたい
そう聞いて、ようやく腑に落ちました。
ランチも、みんな食堂も、速読講座も、水素サロンも、フラダンスをはじめとしたさまざまなイベントも。
一見、別々に見えていたものは、全部「人が出会い、小さな気づきを持ち帰れる場所」という一枚の絵の中にあったのだと。
だから、入口はどこからでもいいのだと思います。はっきりした目的も、相談したいことも、必要ないんです。
悟カフェの扉はあなたのために開けています
お店に入ったら、気軽にスタッフに話しかけてみてください。きっと思いがけない発見がありますよ。

悟カフェは、近鉄奈良駅とJR奈良駅のちょうど中間、船橋商店街にあります。営業日は変わることがあるため、来店前に公式Instagramで最新情報をご確認ください。
悟〜organic cafe satori〜
- 住所:〒630-8114 奈良県奈良市芝辻町1-21 船橋フロム・ワンビル1F
- 営業時間:11:00〜18:00(日により変わります)
- 電話:080-3383-0638









